松山地方裁判所宇和島支部 昭和49年(わ)57号 判決 1974年9月24日
本店所在地
愛媛県宇和島市築地町一丁目二番一〇号
有限会社東雲
右代表者代表取締役
善家美恵子
本籍
愛媛県北宇和郡三間町大字音地甲四番地第二
住所
愛媛県宇和島市築地町一丁目二番一〇号
会社役員
善家美恵子
昭和三年七月二四日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について検察官田中重正出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社東雲を罰金四〇〇万円に、被告人善家美恵子を懲役六月にそれぞれ処する。
この裁判確定の日から二年間被告人善家美恵子に対する右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
当裁判所の認定した罪となるべき事実は起訴事実に記載された犯罪事実と同一であるからここにこれを引用する。
(証拠)
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する供述調書二通、収税官吏に対する質問てん末書六通
一、収税官吏作成の脱税額計算書三通
一、宇和島税務署長作成の納税証明書三通
一、収税官吏作成の領置てん末書
一、押収にかかる法人税決議書綴昭和四五年度、昭和四六年度、昭和四七年度一綴(昭和四九年第一七号の一)
一、永田秀雄、兵頭京(二通)、渡辺哲也(二通)、藤本克幸(二通)、横田章一、宇都宮雄司、石川秋造、松本斌、楠利文、中島衛、菊池武、岡本孝、松浦信義、和田晃、小田良、家木治男(二通)の収税官吏に対する質問てん末書
一、収税官吏作成の捜索てん末書、差押てん末書各一通
一、押収にかかる売掛帳(元帳)一冊(昭和四九年押第一七号の二)、貸付帳(金銭出納帳)一冊(同号の三)、芸妓備忘録一冊(同号の四)、無題ノート一冊(同号の五)、メモ一綴(同号の六)
一、収税官吏作成の査察官調書二通
一、愛媛相互銀行宇和島支店長(三通)、同銀行尾道支店長、香川相互銀行宇和島支店長、加茂貞子、田中愛子、平山富子、渡辺よし江、田村和子各名義の上申書
一、伊予銀行宇和島支店長、東邦相互銀行宇和島支店長、四国銀行宇和島支店長、愛媛相互銀行宇和島支店長名義の各証明書
一、被告有限会社登記簿謄本
一、被告有限会社代表者作成の証明書
(法令の適用)
被告有限会社東雲につき(各年度の法人税を免れる行為ごとにそれぞれ)
法人税法一五九条一項(七四条一項二号)、一六四条一項
罰金額の合算につき
刑法四五条前段、四八条二項
被告人善家美恵子につき(各年度法人税を免れる行為ごとにそれぞれ)
法人税法一五九条一項(七四条一項二号)(いずれも徴役刑選択)
併合罪加重につき
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い起訴状公訴事実第一法人税を免れる罪の刑に加重)善家美恵子に対する懲役刑の執行猶予につき
刑法二五条一項
(裁判官 石川哲男)
起訴状
左記被告事件につき公訴を提起する。
昭和四九年五月一〇日
松山地方検察庁
検察官検事 田中重正
松山地方裁判所 殿
一 被告人
(一) 本店所在地 愛媛県宇和島市築地町一丁目二番一〇号
商号 有限会社東雲
代表社 右代表者 代表取締役 善家美恵子
(二) 本籍 愛媛県北宇和郡三間町大字音地甲四番地第二
住居 愛媛県宇和島市築地町一丁目二番一〇号
職業 会社役員
在宅 善家美恵子
昭和三年七月二四日生
二 公訴事実
被告会社東雲は、宇和島市築地町一丁目二番一〇号に本店を置き、料理業を営むもの、被告人善家美恵子は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括処理しているものであるが、被告人善家は、同会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、売上金の一部を除外し、架空名義預金にするなどの不正な方法により、
第一、昭和四六年五月三一日、所轄宇和島税務署長に対し、昭和四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度における法人税額を記載した確定申告書を提出するにあたり、同年度における実際の所得金額は一八、二三七、九九七円であり、これに対する法人税額が六、四二六、〇〇〇円であるのにかかわらず、その所得金額は八九六、八五〇円であり、これに対する法人税額が二三七、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同年度の法人税六、一八八、七〇〇円をほ脱し、
第二、昭和四七年五月三一日、同税務署長に対し、昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度における法人税額を記載した確定申告書を提出するにあたり、同年度における実際の所得金額は一八、五一二、九一八円であり、これに対する法人税額が六、五三四、八〇〇円であるのにかかわらず、その所得金額は八二一、六二七円であり、これに対する法人税額が二二四、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同年度の法人税六、三一〇、八〇〇円をほ脱し、
第三、昭和四八年五月三一日、同税務署長に対し、昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における法人税額を記載した確定申告書を提出するにあたり、同年度における実際の所得金額は一五、九九一、一〇八円であり、これに対する法人税額が五、六〇五、九〇〇円であるのにかかわらず、その所得金額は五〇一、九九七円であり、これに対する法人税額が一三二、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同年度の法人税五、四七三、九〇〇円をほ脱したものである。
罪名・罰条
法人税法違反 同法第一五九条、第一六四条第一項
右は謄本である。
昭和四九年一一月一四日
松山地方検察庁宇和島支部
検察事務官 池田安宏